自分の音源をマネタイズする方法と、海外の音源販売サービス事情について
先日、4月28日に開催されたフリクルトークライブに、ゲストとして参加させていただきました!
音楽家が関係する権利関係や、音源をどうマネタイズするかというテーマで開催され、私の方からは当社のオーディオストックでの事例などを中心にお話をさせていただきました。
運営側も参加者もとても熱いイベントで、白熱しとても楽しかったです。
今回は、そこでいただいたご質問や補足についてまとめてみたいと思います。
自分の音源(原盤)をマネタイズする
少し前までは、音楽家(特に作編曲家)の収益源としては、JASRAC経由での印税の支払い、買取での作曲、請負でのアレンジ制作などが中心になっていたかと思います。
もちろん現在もそれらが中心であることには変わりはないですが、動画配信サイトであったり音源を販売するサービスなども出てきて自分の音源でマネタイズすることが少しずつ可能になってきています。
背景として、最近は自宅などで予算がかからずレコーディングができたり、打ち込みなどの制作環境の向上で個人レベルでも全ての作業ができてしまうということも大きいと思います。
そもそも、ずっと打ち込みで制作をしている最近の音楽クリエイターやボカロPの人たちからすると「原盤」って言葉自体を意識することすらないかもしれませんね。
海外では音源販売サービスが盛り上がっている
海外(特にアメリカ)では、オーディオストックのような商用利用向けの音源販売サービスが充実しており、様々な企業がサービスを展開しています。
例えば、Youtubeとも提携しているRumblefish社では毎日2万曲以上のライセンス契約が成立しており、900万以上のソーシャルビデオに音源を提供しています。
また、写真販売の世界的企業のGetty Images社も音源販売の企業Pump Audio社を2007年に買収して音源販売の分野の展開を始めています。
参考:Getty Images Acquires Pump Audio
日本ではこういったサービスはまだ少ないしまだまだ認知も少ないと思うのですが、アメリカでは一般的なサービスとして認知されています。
元々、レコード会社などに所属せず独立して活動しているアーティスト/クリエイターが多いという背景もありますし、アメリカでのテレビ番組事情などでも、独立したプロダクションが番組を制作してメディアに売り込むといった構造があるため、音源を調達するためのプラットフォームのニーズが高かったのだと思われます。
動画やアプリの分野で音源のニーズが高まる
Youtubeなどの動画共有サイトの登場もあり、個人や企業が作成する動画が爆発的に増え、それに合わせて映像用のBGMや効果音のニーズが高まってきています。
また、最近だとスマートフォン用のゲームやアプリ用の音源の需要がここ1年くらいで急激に高まっており、海外のサービスなどでも「Game/App」などとアプリ用に音源ライセンス価格が設定されているところも増えてきました。
当社のオーディオストックでのクライアントもアプリ系のお客様が非常に多いです。スマートフォン用のゲームも最近は非常に高度でリッチなコンテンツとなってきており、それに見合ったBGMや効果音が求められているのだと思います。
商用利用に音源を販売するという中では、アメリカと比べると日本はまだまだこれからという印象ですが、コンテンツ大国の日本ですから、今後ますます映像やゲームの分野の成長とともに、音源のニーズもますます高まってくると考えています。
マネタイズの手段が多様化
ここまで、当社のオーディオストックのような、商用向けの音源のライセンス販売の話を中心にしてきましたが、もちろん、音源をマネタイズ手段は他にも色々な選択肢があります。
Youtubeやニコニコ動画からの収益還元のプログラムや、個人サイトでの配信や通販、ライブや即売会イベントなどでのCD販売という手もあります。
個人やインディーズで活動する音楽家にとって、絶対的な勝ちパターンが見えない中で、選択肢も多いので「どれをやったら良いのか?」と迷う方も多いのではないかと思います。
個人的には、とりあえず色々試してみてはいかがでしょう?というように思っています。
手間がかかるということは当然あるのですが、それ以外にはあまりデメリットもないですし、そういったサービスに一通り登録してみたり実験として試してみるのも手かと思います。その上で、自分に一番合ったものとか、稼げそうなものに少しずつ注力していけば良いのではないかと思います。
以上、個人やインディーズで活動する人たちが音源をどうマネタイズするかという点について、簡単にまとめさせていただきました。今後もこういった情報は個人的にも会社としても掘り下げていきますので、皆さまと色々とお話できればと思っています。